蜜色トライアングル【完】
「すっ……好きな人、いたんだ?」
「あぁ」
由弦はさらに顔を近づけ、うっすらと笑う。
木葉は慌てて言い募った。
『世間的に許されない』というと、考えつくのは……。
「えっと……大学の先生?」
「違う」
「既婚者?」
「……違う」
「老婆?」
「……違う」
「幼女?」
「……あのさ。オレを何だと思ってるわけ?」
呆れたように言う由弦の唇は、既にものすごく近い。
木葉の唇まで、指二つ分だ。
あっという間に距離を詰められ、木葉の胸がドクドクと動き出す。
「えっと……えっと……」
慌てて言おうとするもなかなか思いつかない。
そんな木葉の目前で、由弦の瞳がすっと細められた。