蜜色トライアングル【完】
ただでさえ木葉は父親の件で不安になっている。
更にショックを与えるようなことは、したくない。
由弦は目をつむり、背もたれに寄りかかった。
どうすればいいのか……。
「……」
由弦の脳裏にひとつの案が浮かんだ。
しかしそれは、木葉に知られれば罵倒されることは確実だろう。
こんなことを考える自分自身に反吐が出そうになる。
だが、木葉を守るためには……これしかない。
例え木葉に何と言われようと、自分が木葉を傷つけるわけにはいかないのだ。
由弦は唇を噛みしめ、立ち上がった。
コーヒーを飲み干し、ゆっくりと病室に向かう。
その足取りは心の中と同じく、とても重かった。
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