蜜色トライアングル【完】
「それは構わないよ。事務員の代わりはすぐに見つかるだろうけど、道場の先生の代わりはなかなか見つからないだろうしね?」
「ありがとう、圭ちゃん」
「ところで。木葉はこれから、どのくらいの頻度で叔父さんのところに行く予定?」
「うーん、今日・明日は行こうと思うけど……毎日は多分厳しいかな。でも金曜の夜は毎週行こうと思ってる」
「じゃあ、金曜の夜におれも一緒に行くようにするよ。車はおれが出すから」
圭斗の言葉に、木葉は目を丸くした。
「え、悪いよ。私が迎えに行くよ」
「木葉の家からおれの家に寄ったら遠回りになるだろ? ……遠慮しないで。おれ、車運転するの好きだからさ」
圭斗は優しく微笑み、続ける。
木葉は少し押し黙った後、こくりと頷いた。
圭斗の提案は正直ありがたい。
というのも、圭斗の家には車が2台あるが、木葉の家にはジエンタ1台しかない。
その車も兄が仕事でたまに使ったりする。
「じゃあお言葉に甘えるね。ありがとう。迷惑かけてごめんね」
「迷惑だなんて思っていないよ。おれがそうしたいんだ、だから気にしないで」