蜜色トライアングル【完】
圭斗はにこりと笑い、マグカップを持ち上げた。
その仕草もスマートで洗練されている。
「そういえば。武内礼司の殺陣の指導はどうする予定?」
「あぁ、あれは5月のGWにカンヅメで現場に入ることになってて……。GWは剣術教室は休みだから、ちょうど良いかな」
「撮影、どこでやるの?」
「長野の予定。場所は……ごめん、忘れちゃった」
木葉はカフェオレを一口飲み、首を傾げた。
確か北の方だったような気がするが、確信がない。
「凛花ちゃん、来るのかな?」
「かもしれない。都合がつけば、おれも一緒に行くよ」
「時間が空けば、みんなで観光とか……できたらいいなぁ。昔みたいに」
木葉は言い、ローボードの写真立てに視線を流した。
懐かしい昔の写真が目に写る。
圭斗も写真を見、目元に柔らかな笑みを浮かべた。
「そうだな……。長野ならアウトドアか? バンガローやテントでキャンプするのもいいかもな」
「圭ちゃんがテント? ……なんか、圭ちゃんてホテルの最上階のバーでグラスあおってるイメージだけど……」
とぽそりと言った木葉に、圭斗は愉しげに肩を揺らした。