蜜色トライアングル【完】
菅波の目が観察するようにじっと木葉を見る。
別にいやではないが、なんだか落ち着かない。
内心で戸惑っていると、圭斗がすっと二人の間に割って入った。
「おい、あまりじろじろ見るんじゃない。木葉が困ってるだろう」
「あぁ、すまない。つい……」
菅波は一歩下がり、カリカリと頭をかいた。
そのまま、少し高い位置にある圭斗の顔を面白そうに見上げる。
「で。君たち……付き合ってるわけ?」
「えっ!?」
さらりと聞いた菅波に、木葉は思わず驚きの声を上げてしまった。
とっさに口を開き、慌てて言い募る。
「そっ、そんなっ。まさかっ。圭ちゃんには恋人がいるし……」
「……え?」
「とっ、とにかく違います! ……あの私、先に駐車場に行ってますねっ」
木葉は言い、パタパタと走り出した。
……なぜか気恥ずかしい。
自分と圭斗が付き合っているのかなどと他の人に聞かれたのは初めてだ。
それだけのことなのに、なぜ自分はこんなに動揺しているのだろう。
木葉はわけがわからないまま、駐車場の方へと走っていった。