のたお印の短編集
一定の距離を置いて、対峙する朱鷺姫と男。

風が朱鷺姫のセミロングの黒髪を弄ぶ。

「これはこれは」

道の真ん中に突っ立ち、嫌な顔をされても気に留める事なく、男は薄笑みを浮かべて朱鷺姫を見ている。

「こんな可愛らしいお嬢さんが俺と同類とはね…自殺志願者かい?自分の持っているものが『どういうもの』なのか、わかってないのかな?」

「知っているわ」

表情一つ変えず、朱鷺姫は男を睨み返す。

「『サモーニングカード』…神話の時代の超越的存在(神、悪魔、幻獣など)を封じ込めた宝具…己の精神力と引き換えに超越的存在を召喚する『兵器』だって事。それから…」

朱鷺姫の視線が鋭くなった。

「貴方が私と同じカード使い…狂沢 禍彦(くるさわ まがつひこ)だって事もね」

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