のたお印の短編集
白髪混じりの黒髪、目元に隈、やつれた印象を持つ痩せた体型。

名前は異名であり、本名は既に本人すら覚えていない。

彼もまた、朱鷺姫と同じく『サモーニングカード』を持つカード使い。

最近、同じカード使いを執拗に、過剰に痛めつけてカードを奪う者がいるという噂は聞いていた。

「成程ね…イカレた手段を使う訳ね」

朱鷺姫は顔を顰める。

サモーニングカードの魔力にかなり侵蝕されている。

サモーニングカードは、トランプのようなカードゲームのカードとは違う。

これは『兵器』であり『呪物』だ。

使えば使うほど、精神力を消費すればするほど、カードに侵蝕されてしまう。

禍彦は侵蝕され過ぎたのだ。

精神に異常を来たすほどに。

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