のたお印の短編集
これを。

「ふっ!」

瞬時に外套の内から取り出した日本刀で、納刀したまま弾く!

弾かれた長い舌は、永久子の口の中へと収まっていった。

あのような長い舌がどうやって永久子のような小さな口の中に入っているのか疑問を抱く所だ。

相手は『黒の者』、人間の常識など通用しないが。

「……」

白鞘から刃を抜く猛流。

首にかかったシルバーのネックレスが、左の中指に嵌められたシルバーのリングが、微かに音を立てる。

そのシルバーのリングに刃を擦り付けるように、猛流は構える。

切っ先から鍔元まで、刃を滑らせるように。

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