のたお印の短編集
彼は鉄砲伝来と共に伝えられたという禁忌の術を会得した『外道武士(げどうぶし)』と呼ばれる退魔専門の剣士である。

先日、悪霊、妖怪、魔物、悪魔などの総称『黒の者』を狩る為、『関所』と呼ばれる外道武士を束ねる協会から指令を受け、一体の悪霊を狩りに出向いた。

上条 永久子(かみじょう とわこ)。

男達に拉致監禁されて弄ばれた挙句、殺害されて工事現場に遺体を埋められた娘。

父親とも不仲だった為、『異性に愛される』という経験をしておらず、結果男性全てを憎悪し、呪いながら、成仏する事なく現世を彷徨っていた悪霊。

壮絶な戦いの末、猛流は永久子を後一歩のところまで追い詰めたが、油断が隙を生んだ。

調伏しかけた永久子は猛流の肉体に憑依、内から彼の肉体を呪殺しようと今も尚蝕んでいるのである。

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