のたお印の短編集
「!」

悲鳴に気付いた猛流は、寸前でその切っ先を止めた。

不穏な空気、何より。

「『黒の者』の気配」

猛流は先程までの自害の覚悟をまるでなかった事のように、闇の中を走った。

多くの人々が生活する都会とはいえ、全ての闇が照らされる訳ではない。

必ず光の届かぬ暗がりがある。

そしてそんな暗がりにこそ、闇の中でのみ息づく住人達が潜んでいる。

それこそが『黒の者』。

凍て付く街に跳梁する世迷いどもであった。

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