のたお印の短編集

悲鳴のした場所に駆けつける猛流。

街灯すらない人通りのない道路、一人の女性が倒れていた。

そしてその女性を見下ろす影…。

外見は白髪の若い男のように見える。

袖が長いジャケット状で、着用者の手を腹側にまわして袖を結び上半身の自由を奪う白の拘束衣を着用している。

一見すると囚人…しかも脱走した重犯罪者のような出で立ち。

彼の名は無名（むみょう）。

名がないから無名なのか、それともそれが本名なのか。

ただその通り名のみは、その筋の者達には知れ渡っていた。