のたお印の短編集
そんな猛流の都合など知った事ではない。

立て続けに氷塊を連発する無名!

歯を食い縛って立ち上がった猛流は、横薙ぎで一つ、袈裟斬りで一つ、後ろ廻し蹴りで一つの氷塊を破壊する。

肉体を蝕まれても外道武士。

只の氷塊程度で仕留められるような無様は演じない。

とはいえ。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

その呼吸は荒かった。

体力を著しく消耗してしまっている。

その上で無名のような強力な『黒の者』を相手するのは厳しかった。

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