のたお印の短編集
「逃げても逃げても」

6号の右の手首から、まるで鰭のような形状の刃が伸びる。

見るからに斬撃用の武器だ。

「お前は自由になれはしない」

「っ…」

その異形だけでも威圧感を感じるというのに、この上、更に刃とは。

最早殺意は明白。

後ずさる男、にじり寄る3号と6号。

足元は崖。

転落すれば命はない。

ならば。

「!!?」

迷わず。

男は飛び降りた。

切り立った崖から。

転落すれば確実に命を落とすであろう崖から。

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