のたお印の短編集
Nemesis2
Bar『ムーンライト』。
とある街の一角にあるこの店が、亮二の表の顔を見せる場所である。
寂れた店で、いつ顔を出しても客がいない。
その事は、松岡にとって好都合であった。
亮二もまた、店のドアが開く度に、入って来るのは松岡だと分かっている。
それ故に、いらっしゃいませの一言も言わない。
「おいおい、俺は客だぜ雪村よぉ」
「…いつもツケで飲む悪い客ですがね」
グラスを磨きながら溜息をつく亮二。
その手は静かにグラスを置き、アイスピックを手にした。
丁寧に氷を砕いていく。
とある街の一角にあるこの店が、亮二の表の顔を見せる場所である。
寂れた店で、いつ顔を出しても客がいない。
その事は、松岡にとって好都合であった。
亮二もまた、店のドアが開く度に、入って来るのは松岡だと分かっている。
それ故に、いらっしゃいませの一言も言わない。
「おいおい、俺は客だぜ雪村よぉ」
「…いつもツケで飲む悪い客ですがね」
グラスを磨きながら溜息をつく亮二。
その手は静かにグラスを置き、アイスピックを手にした。
丁寧に氷を砕いていく。