のたお印の短編集
ネパールを発祥とするククリナイフは、農作業、家事、狩猟が主たる用途ではあるが、“生活に根ざした汎用大型刃物”という性格上、戦闘行為に使用される場合もある。

こんな特殊なナイフを、一体どういうルートでこんな少女が入手したのか。

彼女は太股のホルダーからスラリとククリナイフを抜く。

…少女の目前、数メートル先をサラリーマンらしき男性が歩いていた。

酒でも飲んでいるのか、やや千鳥足で歩くスーツ姿の中年。

完全に前後不覚になっている様子で、背後から重みのある刀身で頭をかち割れば、犯人の顔を見る事なく昏倒するだろう。

幸いにして、少女とサラリーマン以外に人気はない。

目撃される事なく『狩り』を終える事が出来る。

…悦楽に歪む唇。

少女はククリナイフを振り上げ…。

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