のたお印の短編集
シュカッ!

切り裂くような音が響く。

…それは空気を裂く音だったのか。

夏彦の左腕は繋がったままだった。

だが、ウェンディのククリナイフには血が滴り落ちている。

「よかったなぁオイ、腕ぶら下がったままでよぉ」

「……」

見れば夏彦の二の腕辺りから、相当量の出血があった。

「てめぇのクソノロいパンチじゃ、私のナイフは避け切れねぇって事だ。わかったか?ん?正義の味方ごっこは他所で…」

顔を突き出して挑発するウェンディの鼻先に。

「ぶふっ!」

夏彦の左ジャブが入った。

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