のたお印の短編集
そんな彼の首を。

「ぐぅっ!」

青白い爪のない細指が締め上げる。

爪は剥がされていた。

女性の指とは思えない、ガサガサで骨ばった指。

長期に亘って劣悪な環境に置かれ、凄惨な扱いを受けていた証だ。

笠越しに背後を見やる慈空。

…女が立っていた。

目の覚めるような美人。

街中で擦れ違えば、誰もが振り返る、匂い立つような美しさを持っている。

それ故に彼女は、少年達に拉致された。

ただの性の捌け口として。

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