*みずたまもよう
ーーコンコン
突如、病室にノックの音が響いた。
急いで涙を拭い、絞り出した声で返事をする。
「葉瑠...」
「莉子、」
飛内 莉子(トビウチ リコ)。私の大親友であり、ライバル。
昔から、何かと比べられる事が多くて。
だから莉子にだけは、負けたくなかった。
「早く治して、一緒にバスケしよう」
いつもの明るい笑顔で、彼女は言う。
私は、この笑顔が大好きだ....ーー
「.....もう、バスケはやらない」
でも、無理なの。
やれるんならやりたい....
でも。
3ヶ月のブランクをどうやったら埋められる?
戻ったとしても、万年ベンチだろう。
「そんな事言わないで!!葉瑠、バスケ大好きじゃない!!」
「.....私は、もうーー」
ーーパンッ
乾いた音が、病室に響いた。