光と影
家に帰ると、お母さんの「勉強しないのー?」、という声。



・・・・あの一言さえ、怖かった。



アタシは布団に潜り込み、真っ暗な闇の中で繰り返した。



怖い、怖い、怖い・・・・・。



「ちょっと、美沙ー?聞こえないの??美沙ー」



お母さんの、あの優しい声さえも恐ろしい。



「美沙ー?ちょっと、いい加減にしなさいよ!」



『いい加減にしろよっ!!』



お母さんの言葉で、あの友達の文句を思い出す。



・・・嫌だ・・・消えて・・・・消えて・・・。



・・・嫌だ・・・思い出したくない・・・嫌だ・・・。




「美沙っ!!聞こえてるでしょー?」



「うるさいなッ!!静かにしてよッ!!!」



どんどん大きくなる足音が、ぴたりとやんだ。




「・・・・ごめんね、集中してるのに・・・・」




お母さんの悲しそうな声が聞こえ、だんだん小さくなる。



そして、ついには聞こえなくなっていった。




話を聞いてくれるチャンスを、自分で逃したんだ。
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