桜の記憶


「なんだい」

「私の母は、どこにいますか?」

私がそう聞くと先生は気まずそうに視線をそらした。

「先生、答えてください。…なんでも受け止めます。」

それでも先生は目をあわそうとしない。

「…亡くなった」

先生はそう呟くと顏をあげた。

「亡くなった…それは私の“事故”と関係ありますか?」

「それは答えることができない」

先生はそう言うと立ち上がった。
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