うさぎとねこ
「おい!須川!

何度言ったら分かる!!」

先生の声。だけど私には、

届かない。

「止まれ!

ちょっと職員室まで来い!」
先生に腕を掴まれる。

持っていたうさぎを

落としそうになり抱え直し、

先生についていった。



「須川。ここは学校だぞ?

そんな物、持ってきて良いと

思っているのか?」

私はうさぎの頭に顔をのせ

「………いいえ」

と答えた。

先生はイライラしながら

「なら、なぜ持ってきている?」

と聞いてきた。

今まで何度も繰り返した言葉。

私がなにも答えないでいると

「………もういい!

早く教室に行け!」

と言われ職員室から追い出された。



教室に入り、席に座る。

ちらりと見た窓の外には

鮮やかな赤に染まった山が見えた。

紅葉が、多く植えられているらしい。

少し、眺めていると笑みがこぼれた。

紅葉を見ると、紅葉を思い出すから。

紅葉…元気かな…?

< 2 / 19 >

この作品をシェア

pagetop