うさぎとねこ
俺が挨拶しようとリビングに行くと

おばさんは…ケータイを見ていた。

『彼女』のケータイだ。

「…!!おばさんっ…!」

俺が声をあげるとおばさんは
虚ろな目で振り向いた。

おばさんはふふふと

不気味に笑いながら

「あら…もう帰るの?

ゆっくりしていけばいいのに…」

と言って棚をあさりだした。

何を出すのか予想できない。

「この前掃除したら出てきたのよ。

これ、あげるわね」

と言って渡されたのは

『彼女』と僕の写真だった。

「…!お…おばさんっ……」

俺が泣きそうになっているとおばさんは

「ふふ…私ね…あなたが

『あの子』の最後の人で

よかったと思っているわ」

と言って微笑んだ。

おばさんの言葉に胸が痛む。

俺は…『彼女』の

最後の人なんかじゃない。

おそらく、おばさんも

わかって言っている。

嫌がらせなのだろうか。


俺が『彼女』の死期を早めたようなものだから。
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