フルムーン~月夜の旋律~
とりあえず、私達は再び屋上に戻ってきた。
闇夜の術がまだ解けないのか、一般人は倒れたままだ。
「もうっ!アイツらやりたい放題やって……」
結衣がぶつぶつ言いながら、妖力を使って校内の修復をしている。
狐耳と尻尾がたまらなく可愛い。
「も~!結衣可愛い!」
ぎゅ~っと結衣に抱き付く。
「はうっ?!みみみ美月さん?!」
「気にしないで、作業続けて!」
「は、はい……」
その隣では、真由美と安曇が話している。
……安曇たちに真由美のこと言っておけばよかったかな?
「そう言えば、真由美ちゃんは美月と一緒にいる子だよな。」
「そうだよ。私、美月の親友だし。」
「俺達を見てもさほど驚かなかったな?」
「美月から、妖血については聞いてたもん。」
真由美が私の話をするたびに、安曇が嫉妬の顔で見てくるのは気のせいだろうか。
暫くすると、二人の間に火花が散ってる。
それを見た結衣が間に入るように話はじめる。
「あの……何で真由美さんは普通に居られるんでしょう?」
「そう言えば。戦闘で御札使ってたな。」
真由美がギクッとした顔をする。
確かに……結衣と安曇と同じ疑問が浮かぶ。
「うぅ…美月、言わなくてごめん?」
そう言って、ポケットから御札を一枚取り出す。
そして、印を結んで式神を召喚した。
大きな鳥の式神が空を旋回している。
「私、先祖代々から陰陽師の家系なんだよ。」
「あ、だから私の正体明かした時もあまり驚かなかった訳ね。」
私が真由美に正体を明かしたのは中学の時。
あまり驚かなかった理由を今更ながら納得。
「陰陽師って妖退治とかするでしょ?敵視されそうだったから……」
「まあいいんじゃないか?結果的に戦力が増えたって事だろ?」
何か安曇は納得してるし……。
計算高いと言うか…なんと言うか…。
まぁとにかく、真由美はちゃんと話してくれた訳だし、良しとしますか。