フルムーン~月夜の旋律~
『ご馳走様でした!』
いつもより賑やかな夕飯も終わり、時計を見れば7時半を回っていた。
「長居しちゃったね〜本当にご馳走さま、美月♪」
「いいよ、いいよ♪いつもは2人だけだし久々に楽しかったよ!」
「それじゃあ、そろそろ私帰るね。」
真由美はリュックを背負って玄関へ向かう。
私と優月は見送るために一緒に玄関へ。
「真由美さん、また来てね!」
「ありがとう、優月ちゃん。じゃあまた明日ね美月!」
「はいはーい♪」
__ガチャリ
真由美が手を振りながら帰るのを見送ると私たちは部屋に戻った。
部屋では安曇が窓際でジッと暗くなりかけた空を見ていた。
その横顔は闇夜と戦っていたときと同じで、キッとしている……。
普段の安曇とのあまりのギャップにどちらが本性なのかわからなくなる。
本当に不思議な奴……。
「安曇、何眺めてんの?」
後ろから声を掛ける。
「あ……いや、この部屋高いところにあるだろ?景色が綺麗だなって。」
安曇でもそんなこと思うんだ。
すごい意外な気がする。
「……俺がそんな風に思うのが意外か?」
「え⁈な、何⁈安曇も結衣と同じ能力があるの⁈」
「いや……顔にそのまんま出てる……」
「……そんなこと思ってないからね!」
「いや、美月手遅れだからな⁈」
思わず2人で吹き出す。
これが安曇の本性なんだろうな。
皆が知らない安曇の一面を知ってるってなんか少し嬉しい気がする。
__嬉しい?
何考えているんだろう⁈
安曇に限ってそれはない!
「なあ、お前の姉は大丈夫か?なんか1人で荒ぶってるぞ……。」
「あー、大丈夫。1人で考え事してる時はいつもあんな感じ。」
そんな私を他所に安曇と優月は少し遠くで私を見ていた。