愛をくれた神様
恵美が箸を置く。生中おかわり!と、言い携帯をいじっている。 空気を読まない女だった。
「俺は、もともと恵美と約束してたんだ。話があるなら、今でいいよ。」
2人で話したいと言ってるのに、今でいいよなんて、裕樹と本当の意味で2人で話しあうのは無理なのかもな、と私は悟った。
だが、希望をまだ捨てられない自分がいた。 私は続けた。
「いいから、2人で話しがしたいんだけど。」
小馬鹿にしたような、この女にだけは、知られたくなかった。
恵美は生中をぐいっと飲み干し、私と裕樹を交互に見ると、「私帰るね。」とめずらしく気のきくことを言った。
恵美から明らかに多めの酒代五千円を受け取り、裕樹は恵美を眺め、ため息をついた。