愛をくれた神様
「おこってる?」

私は聞いた。 彼は首をふった。はっとした。今は、彼の顔を伺ってる場合じゃないのだ。

「赤ちゃんが出来たかも。」

私は言った。彼はえっ…と、口元まで持っていった塩タンを皿にもどした。 パチパチと肉が焼ける音がうるさいので、私は火を止めた。 目を見、私は言った。

「ずっと、生理が来ないの。心当たり、ものすごくあるし…。まだ確定じゃないけどもしそうだったらどうするか、裕樹の気持ちを確認しておこうと思って。」

一気に私は言った。 言えた…と思った。と同時に、後悔が押し寄せた。まだちゃんと妊娠した事が決まったわけではない。なのに、私は彼を試しているのだ…。そんな罪悪感のようなものが頭をかすめが、私はすぐにそれを打ち消した。
確定する前に相手の気持ちを確認するのは間違った行動ではない。

「…。」


彼の瞳が、曇っていく。

はやく結論を出せとばかりに、肉がパチパチ音を立てている。
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