愛をくれた神様
ノブシの話・想い
金曜日。
定時に珍しく仕事が終わり、僕は職場から二駅離れた図書館へ足を運んだ。
自ら母に会いに行くのは初めてだった。3年ぶりに会う母は突然の息子の来訪に驚きながらも僕をさわやかに迎えてくれ、鬼のような勢いで引き継ぎ業務を終えると僕と一緒に職場を出た。
「久しぶりね~。こないだまで高校の制服がぶかぶかだったのに、もうスーツが似合うおじさんになったのねぇ~。」
と母はさり気にひどい事をいい、人前にかかわらず、腕をさわったり襟元をいじったりするのだった。 近くにお茶を飲める場所はなく、僕は近くのコンビニでコーヒーを買ってきて母に渡した。
「ごめん。こんなもんで。本当はお茶とか、ごはんとかごちそうしてあげたいんだけど。」
社会人になったというのに、僕は申し訳なくなった。
「いいわよそんなの。気がきくようになったのねぇ。彼女でもいるの?。
女というものは、どうしてなんでもいい当てるのだろう。
「なんで分かるんだよ。」
「男の子なんて、彼女いるかいないかで、だいぶ変わるものよ。」
母はかるく笑う。日が傾きかけた公園は、真夏なのに涼しく、風が気持ちよかった。