愛をくれた神様

キスをしたあと、さっと全身があつくなった。


顔だけがあつく、心臓がばくばくしていた。彼はパッと私から離れ、私を見た。


私は落としてしまったチリトリをひろい彼に背を向け、黙ってそうじを再開した。


私は彼と2人の時間が好きだった。そりゃ彼のために私が倍そうじをして、先生が来ないように見張りをして、彼が自由にするために尽くしてあげたけど、彼とキスをしたいと思った事なんて一度もなかった。


ムシャクシャした気持ちが広がっていた。


家に帰り、晩ご飯をたべ、お風呂にはいりそっこう、布団にもぐりこみ涙を流した。


この悲しい感覚はなんなんだろう。 彼が嫌いで嫌いでたまらなくなった。はじめてのキスは思ったよりやわらかく、ぬるっとしていて、初めて体感した、舌はなにか地球外の生き物のように這い回っていた。頭で描いていたそれは、本当に唇と唾液がぶつかるだけの、よく分からない感覚にしか過ぎなかった。

夢を壊された気持ちだった。


てゆうか、彼が私にそんな事する権利があったのだろうか。あるもんか!。 彼が憎らしくて憎らしくて仕方がなかった。


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