愛をくれた神様
彼の溜息まじりの言葉が、私にふりかぶさってくる。
この瞬間、裕樹に抱いていた、泡のようなかすかな期待が一気にはじけた。目が覚めた感覚だった。
結局、彼は私がどうしてひとりで悩んでいたのか、その事には、興味が無いのだ。
彼は、常に自分が「かわいそうな人間」でありたいだけなのだ。
浮気した時も「おまえは被害者的な意識しかないんだな。」と、自分を哀れんでいた。私が仕事で愚痴をこぼしていた事も、周りに愚痴り、自ら進んで可哀想な彼氏になっていた。
彼は、そうやって周りに「寛大だ。」「人間ができている。」などと評価されたいだけなのだ。それに彼は気付いていない。もともと、ナルシストと言うか自分に酔ってる部分がある子だった。
私は急に この人があわれになった。
この人のプライドを壊しちゃいけない。最後は笑顔で別れようと私は決めていた。