愛をくれた神様
では、誰が…?
ここの住所を知っている人間は限られている。母、親戚、この家に来たことのある友達、彼女。
じつはこのハガキは兄が書いたが、兄何らかの理由でハガキを忘れ、送る事が出来ず、兄の死後、そのハガキを見つけた、父がここの住所を書いて送った?
ふと、そんな考えが浮かんだ。 だが、その考えを僕はすぐに打ち消した。僕の記憶の限り、父の字はもっと小さいし、それにこの字が大人が書いた字とは思えなかった。
母は、僕の字でもないと言う。当然だが僕はこんな事をした記憶はない。
ここまで来たら、僕はどう手掛かりを探したらいいのか分からなくなっていた。ここは、何か心あたりがないか父に聞いてみるしかないだろう。 わらにもすがる思いだ。
兄が想いを残し、書いたものなら、15年たったものの、ちゃんとその相手に送り直してあげるべきだと、僕も思い始めていた。だが、得体のしれないものを人様に送るわけにはいかない。
大阪の、自分の家の差出人の住所を誰が書いたのか、 突き止めるべきだと僕は思った。