愛をくれた神様
愛をくれた神様
月曜日。
雨が降り出していた。 8月は本当に猛暑だった。
ぼくがこの世を去ってから、年々夏は暑くなっている気がする。
だが、もうこの世界ともお別れだ。 悲しいことに、山で土砂崩れにあい、そのまま土の中に閉じ込められてしまったぼくは、数日間は生き延びたものの、家には帰れなかった。
最悪だった。家には帰れない上、死んだからと行ってどうやらすぐに、あの世に行ける訳でもないようだった。
父がぼくが生きていると信じて、山の中でぼくを探しているのも知っていた。胸が張り裂けるくらい悲しかった。
弟は、大阪の慣れない暮らしに最初は戸惑っていたが、父がぼくの事でいっぱいいっぱいで放置されても、たくましく、大学にちゃんと行き、ちゃんと就職もし、生意気に彼女までいる。
ハガキの事は、本当に感謝している。
15年たった今、そのハガキが舞い戻って来たのは、霊と世に残ったものの、僕の限られた、発揮できた力だった。