愛をくれた神様
大人になった、きれいな君と、最後のさいご、話せて嬉しかった。
15年たっても、ぼくは小学校四年生のままだが、君はどんどん大人になる。
悲しいけれど、それは事実で、僕はもう行かなくてはならない。
僕は初めて君の家の中へ入った。優しい木の葉をたたく雨音が、家全体を包み込んでいるようだった。
君は、ソファーで眠っていた。僕が最後に送った、あのハガキを、手にしている。
そっと、僕は声をかけた。
「さよなら。」
彼女の睫から涙が落ちた。
僕はその涙を、手のひらで拭う。
これから先、彼女がもっと大人になり、誰かのお嫁さんになり、赤ちゃんを産んでいいお母さんになる所を見ていたかった。
だが、それも、これからはできない。
唇をてのひらに当て、その手で一瞬だけ彼女のほおに触れる。
僕はベランダから部屋を出た。
雨の中、木の葉の間をすりぬけて、光が差し込んでいる。太陽の光ではない。ぼくにしか見えない、ぼくが旅立つための光だ。
さよなら。 ぼくは神様のところへ行く。
ぼくは、ひとりごちると一歩前へ踏み出した。
15年たっても、ぼくは小学校四年生のままだが、君はどんどん大人になる。
悲しいけれど、それは事実で、僕はもう行かなくてはならない。
僕は初めて君の家の中へ入った。優しい木の葉をたたく雨音が、家全体を包み込んでいるようだった。
君は、ソファーで眠っていた。僕が最後に送った、あのハガキを、手にしている。
そっと、僕は声をかけた。
「さよなら。」
彼女の睫から涙が落ちた。
僕はその涙を、手のひらで拭う。
これから先、彼女がもっと大人になり、誰かのお嫁さんになり、赤ちゃんを産んでいいお母さんになる所を見ていたかった。
だが、それも、これからはできない。
唇をてのひらに当て、その手で一瞬だけ彼女のほおに触れる。
僕はベランダから部屋を出た。
雨の中、木の葉の間をすりぬけて、光が差し込んでいる。太陽の光ではない。ぼくにしか見えない、ぼくが旅立つための光だ。
さよなら。 ぼくは神様のところへ行く。
ぼくは、ひとりごちると一歩前へ踏み出した。