愛をくれた神様
学校にいくと、あの男の子の姿はいなかった。
その日はそうじはなく、まだ土砂崩れが油断できないと言うことで、午前中だけで終わった。 私はその日一日、味気ない気持ちですごした。
帰るとき、その子の席を見ると、その子がポケットからいつもはみ出させていた、黒のチェックのハンカチが、どろどろに汚れて、置かれてあった。
それから、日曜日、月曜日、火曜日と、その子の姿は見えなかった。
やがて、先生が、彼は両親のつごうで、大阪にお引っ越しをしました、落ち着いたらみんなにハガキを送るそうです、と告げた。
みんなが「え~っ!!」と完成をあげている中、私はどこか、胸の奥がすっ…と冷たくなっていくのを感じた。 胸に抱いていたものが、急にすとんと抜け落ちたような… そんな感覚だった。
こんな気持ちになったのは生まれてはじめてだった。