廻音
「おはようございます!」

店のドアを開けて、まだ見えない姿に挨拶すれば、外の熱気なんて忘れさせてくれそうな、涼しく爽やかな声が耳に届く。

「廻音ちゃん!おはよう。」

バイトの先輩、深川 るい(フカガワ ルイ)さん。

「るいさーん!」

「廻音ちゃんは相変わらずねぇ。
一緒に入るの、久し振りよね。」

「ですねぇ。るいさんが入る日に合わせましたから!」

得意気に言う私にるいさんは言い放つ。

「嘘でしょっ。シフトの相談なんてした覚えないわ。」

つれないるいさんに「いけずー。」とふくれっ面を向けて、勤務の準備に取りかかる。

実のところ、久し振りのるいさんとのバイトに浮かれていたのだ。
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