廻音
世間は夏休みとお盆を挟んだ連休とあってか、朝から店内は賑わっていた。

來玖さんだって、その気になれば休みを取れたみたいだけど、取っていない。
文字通りの勤勉さなのだ。

「あのー…。」

余計な考え事をしている思考を破るような、突然の声を背後に聞いた。

「はっ…はいっ!」

ビクッとして突然振り向いた私の瞳には、きっと元々大きくてパッチリしているのであろう目を更にまん丸にして、驚いている女の子が映っている。

現在希少価値になりつつある黒髪さらさらストレートロング、パッツン前髪で、一層映えるクリクリの目、絵に描いた様な美少女だ。

私が男なら、三秒で恋に落ちる。
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