廻音
店内に置いてあるアクセサリーは、そのほとんどが女性向けだ。
男性へのプレゼントには適さない。

グラスやティーカップセットなど、食器類もあるにはあるけれどそれもまたアンティーク風でメルヘンな物。

異性へのプレゼント選びは難しいけれど、この子に喜んで帰って欲しい。



私は一冊のノートを彼女に差し出した。

「これって…。」

「えぇ。写真やマスキングテープなどで中身を飾る、スクラップノートです。
既に出来上がった小物をオススメする事も可能ですが、それは『私が選んだ』物。

このノートはまだ未完成です。
中身はあなたがつくるんです。
二人の思い出の写真とか…二人だけの想いを詰め込んでください。
材料になりそうな小物もあちらに揃っていますので。」

説明すれば、彼女はとても満足そうに笑ってくれた。

「ありがとうございます!あなたに聞いて良かった。」

その笑顔で私も満たされる。
素敵な時間を、この子はプレゼントしてくれた。
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