廻音
「ら…いく…さん?」

朝は確かに閉めたし、鍵も私が持っていた。
今も間違いなくロックがかかっていた筈だ。
なのになんで、彼が此処に居る?

「お帰り、廻音。
折角鍵を持たせたからね。体験させてあげなきゃ失礼かと思って黙って待ってたよ。」

妙な優しさを並べながら、來玖さんはやけに満足気だ。

「なんで、居るの?」

「なんでって、案外仕事が早く片付いてね。
それなら廻音に会いに来るのは当然だろう?」

「いや、そうじゃなくて。どうやって入ったの。」

「あぁ、そんな事。どうって、コレ。」

目の前で揺れる銀色の小さな物に、目が点になる。
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