廻音
「…。」

「ドキドキするなぁ。俺の作品、俺が触れた物が廻音に取り込まれて、廻音の血肉になる。
内側から支配していくんだ。ゾクゾクする。」

「益々食べにくいですね。」

…て言うか、コレ何だろう。
オクラ…に見えたんだけど。

「コレ、何ですか?」

フォークで突き刺した緑の輪切りを彼の目の前に突きつける。

「アレだよ。唐辛子みたいな。」

「…ししとう?」

「あぁ、そう。確かそんな感じの名前。」

「何故ししとうを?」

「夏野菜。」

「オクラと勘違いしてます?」

「さぁ。見た目だけで選んだから。」

…。何故オクラに見えたんだろう。疲れてんのかな。

て言うか、て言うか…。

「コレ味付け何?」

「めんつゆ。」
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