廻音
4
白い壁が二つの鼓動を包み込む。

視界の上で揺れる愛しい影が、愛でる様に「廻音…廻音…。」と繰り返す。
応える様に一層強く腕に力を込めて、
愛を体現してみせた。

「廻音…可愛い。」と掠れる声が色気を増してゾクリと背中を震わせる。



怯えていた。
怖かった。
愛が深くなり過ぎたら、一体何処に行き着くのだろう。

失いたくない。

もっと欲しい。

矛盾した愛が、彼をきつく縛り付ける。
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