廻音
夕暮れ時、影が二つ。

「來玖さん。本当に着いて来るんですね。」

「黒雅、って奴を一目見たいんだ。」

「見た事あるでしょう。何も変わってませんよ。」

「本当の目的は『面白そうだから』。」

面白そう、ですか。
まぁ、お姉ちゃんには言ってるしいいか。
黒雅さんにも一応連絡済みだ。
彼の目的は姉だけだから、外野はどうでもいいらしい。

「大人しくしててくださいよー。」

はいはい、と返事をする彼は、どことなく不敵な笑みで、不安になる。
邪魔したら許さないんだから。
< 184 / 213 >

この作品をシェア

pagetop