廻音
姉が準備したアールグレイと海苔煎餅の異食コラボを愉しみながら、タイミングを探っていた。
それに気付いたのだろう。
來玖さんが「お花摘んでくる。」と席を立つ。

「お花摘んでくる。」とは御手洗いの事だ。
御手洗いへの可愛い行き方、とかなんとか…二人でふざけて考えた言葉だ。

一瞬訪れた沈黙を、しっかりと掴む。

「お姉ちゃん、あのね。実はさぁ…。」

「どうした?」

「ちょっとね。話があるの。」

そう言いながらテーブルの下で携帯を操作する。
黒雅さんへ着信を送り、三回コール。
来て、の合図だ。

公園からこの部屋までは五分もかからない。
鼓動が速くなる。
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