廻音
「何よ、改まっちゃって。」

「うん…。えっと、私じゃないんだけどね。」

「なぁに?意味が解らないわよ。」

來玖さんが戻る。腰を下ろしたのと同時だった。





ピィーン、ポォーン、と文字にすれば間抜けに思える間延びした音がリビングを満たす。

「誰かしら。珍しい。ちょっとごめん。」

パタパタと玄関に小走りでかける姉。
ギュッと握った掌が汗ばむ。
來玖さんは涼しげな顔でティーカップを揺らしている。
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