廻音
「はーい。」
ドアの向こうから返事は無い。
「…はい。どちら様ですか?」
怪訝そうに繰り返す。
魚眼レンズに姉が近付いた時だった。
「輪廻。」
確かに届いた声に、一瞬空気が止まった気がした。
「………ぇ。」
小さく漏れた姉の声は震えている。
「輪廻。俺だよ。」
「よ、るくん…?」
問い返さずとも判っていた筈だ。
忘れもしない、彼の声。
此方を振り向いた姉の瞳は、「どうして?」と揺れている。
ドアの向こうから返事は無い。
「…はい。どちら様ですか?」
怪訝そうに繰り返す。
魚眼レンズに姉が近付いた時だった。
「輪廻。」
確かに届いた声に、一瞬空気が止まった気がした。
「………ぇ。」
小さく漏れた姉の声は震えている。
「輪廻。俺だよ。」
「よ、るくん…?」
問い返さずとも判っていた筈だ。
忘れもしない、彼の声。
此方を振り向いた姉の瞳は、「どうして?」と揺れている。