廻音
カラカラに渇いた喉が最早チクチクして、声を出す事も拒否していた。

「廻音。聞いての通り、彼は決して惑わされなかったわ。
一身にあなただけを愛している。
解っていた筈なのに。もう…戻れなくて。

どうしても思ってしまうのよ。
あなたさえ…廻音さえいなければ…!」

その声を合図に伸びる腕があった。
真っ直ぐに伸びたソレは、躊躇なく姉の首に触れ、咽喉を狭める。

「黙れ。」

静かに、しかし冷徹な声。
震える事のない、しっかりとした声は心の強さ。
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