廻音
「人間ってね、信頼だとか親愛、尊敬を持つ者に対して『真似をしたい』って思うんだって。『自分も同じなんだ!』って。一種の悦ね。」

己に呆れた様に自重気味に苦笑う姉は、けれど美しい。
血の繋がった私から見ても姉は美しく、聡明だった。

そんな人も「恋愛休業中」の看板を掲げ、学生時代から続くバイト先で今や社員として勤めている。

絵本の世界から飛び出してきた様なメルヘンな喫茶店。
休日には女子中高生やカップルで賑わっている。
そして姉目当ての男性客も…。

彼氏いない歴、三年。
彼女を放っておく程、世の男性は馬鹿ではないが、それを寄せ付けない鬼気とした態度。
それもまた、魅力的に映る。

そう悩ましげに教えてくれるのは、姉の後輩である藤原 柚子姫ちゃんだ。
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