廻音
御伽噺に着いた。
木製のドアをゆっくりと押して、右足を踏み入れる。
ひんやりとした空気が爪先から徐々に上へと触れる。
相も変わらずメルヘンな店内のカウンター。
「メルヘン」が到底似合いそうもない春陽さんが此方に微笑みを向けている。
「お久し振りです!」
実際の気持ちよりも少し大袈裟に明るい声を出した。
春陽さんに会うのは本当に久し振りで、だから暑さにうんざりした実際の気持ちよりも明るく振る舞ったのは、嬉しさを隠せなかったからだ。
「気がある」とかじゃなくて、優しい親戚のお兄ちゃんに久し振りに会う、とかそんな感じに似ている。
柚子姫ちゃんにとって、自慢のお兄ちゃん。
姉、輪廻にとって、良き理解者。
私にとっては何になるんだろう。
何にしても春陽さんは不動の「素敵な人」だ。
木製のドアをゆっくりと押して、右足を踏み入れる。
ひんやりとした空気が爪先から徐々に上へと触れる。
相も変わらずメルヘンな店内のカウンター。
「メルヘン」が到底似合いそうもない春陽さんが此方に微笑みを向けている。
「お久し振りです!」
実際の気持ちよりも少し大袈裟に明るい声を出した。
春陽さんに会うのは本当に久し振りで、だから暑さにうんざりした実際の気持ちよりも明るく振る舞ったのは、嬉しさを隠せなかったからだ。
「気がある」とかじゃなくて、優しい親戚のお兄ちゃんに久し振りに会う、とかそんな感じに似ている。
柚子姫ちゃんにとって、自慢のお兄ちゃん。
姉、輪廻にとって、良き理解者。
私にとっては何になるんだろう。
何にしても春陽さんは不動の「素敵な人」だ。