廻音
「って言い聞かせて、納得したふりをするのよ。
その『ふり』にも慣れたらもう、『納得しようとしている』事さえも忘れてしまう。

職場の選択に胸を張れる事も、恵まれている事も、心からそう思ってる。

ただ…。どうしても足りないものが在って、どんなに願っても届かない。
駄々を捏ねる子どもではいられないから…少しでも平気なように、折り合いをつけていくの。」

姉が言う『どうしても足りないもの』が何であるかは訊かずとも検討はついた。

「あの夜」の悲劇は、けれど姉にとって、生涯の誓いとなったようだ。
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