蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
木葉は圭斗に連れられ、繁華街の裏手にある小さな川のほとりに来た。
幅10メートルほどのその川は、幼い頃、圭斗や冬青、由弦と何回も遊びに来た川だ。
川の両脇には散策路が整備され、つつじなどの木々が整然と植え込まれている。
川の水面が残照を反射し、錆色に輝いている。
木葉は圭斗に手を引かれるまま、川沿いの遊歩道を歩いていた。
「……」
圭斗は何も言わない。
いつも大人で、優しい微笑みをくれる圭斗が……今日は無表情だ。
「圭ちゃん」
「……」
「ねぇ圭ちゃん、どうしたの?」
木葉が足を止めると、圭斗も足を止めて木葉を見下ろした。
その瞳には木葉がこれまでに見たことのない、苦しげな影がある。
木葉はそれに気づき、圭斗の手をきゅっと握りしめた。
「何かあったの?」
木葉が聞くと、苦しげな影は更に濃くなる。
木葉は眉根を寄せた。
「……圭ちゃん?」