蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



木葉はどう説明しようか必死で考えた。

が。


「……どういうこと?」


絞り出すような圭斗の声が木葉の背を打つ。

その低い声に、木葉の背筋は一瞬で固まった。


「どうして? ……由弦? それとも冬青?」


圭斗の声は氷のように冷たい。

圭斗のこんな声を木葉は聞いたことがない。


――――まずい。


直感的にそう感じ、木葉は振り返ろうとした。

その瞬間。


「……っ!」


振り返ろうとした木葉の背中を衝撃が襲った。

凄まじい力で後ろから抱きしめられ、木葉は息を飲んだ。

……身動きが取れない。


木葉の全身を柑橘系の香りが包み込む。

目を見開く木葉の頭上で、圭斗は抱きしめたまま呻くように言う。


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