蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「……おれ、言ったよね? 木葉」

「……」

「離れることだけは絶対に許さない、って」


言いながら、圭斗はさらに木葉を抱きしめる。

木葉は氷のように固まっていた。

圭斗の声は冷たく、いつもの余裕や優しさはかけらもない。


表情が見えないことが、とても怖い。

戦く木葉に、圭斗は掠れた声で耳元に囁いた。


「おれは、ずっと待ってた。木葉がおれのこと好きになるまで、木葉を困らせるようなことはしたくないって、思ってた……」

「……」

「でも、優しくしても……それだけでは木葉を繋ぎとめることはできない……」

「圭、ちゃん……」



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